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【2026年5月渡航報告】ネパール・ポカラで初の新生児蘇生法研修を実施&政府協議が前進|新生児蘇生法研修普及(NRT)プロジェクト

6月1日
読了時間: 6分

認定NPO法人ASHAは、2026年5月15日〜5月21日の期間、ネパール(ポカラ・カトマンズ)にて定期の現地モニタリングおよび事業協議を実施いたしました。

ASHAはネパールにおける新生児死亡率の改善を目的に、ネパール小児科学会(NEPAS)、NCPR委員会(日本周産期・新生児医学会 新生児蘇生法委員会)の専門家、現地関係機関と協働で活動を進めています。

今回の渡航では、首都カトマンズ以外で初となる地方研修(ポカラ)の実施と教材の検証、およびネパール政府機関との国家ガイドライン化に向けた協議を行いました。


病院の実習室で、白衣の医療者らが乳児模型を囲み、蘇生手技を確認している。壁に手順表、真剣な雰囲気。
2026年5月ネパール・ポカラでの新生児蘇生法研修の様子

主な活動内容と成果
  • 首都外初となる地方研修の実施(ポカラ拠点)

    <活動内容> Nepal Manipal College of Medical Sciences(ポカラ)にて2日間の講習会(5月18〜19日)を開催しました。1日目はポカラや周辺地域から集まったコアトレーナー候補6名が指導法やシナリオ演習を学び、2日目は候補者自身が講師となって受講生へ指導を行いました。

    <成果> 周辺病院の医師17名・看護師7名(計24名)が受講を修了しました。日本の専門家は助言役に回り、NEPASの医師たちが主体となって「教える人を育てる」持続的な研修サイクルが地方都市でも機能することを確認しました。


    病室で看護師が赤ちゃんの人形を使って母親に抱き方を説明し、周囲に別の看護師と家族が見守る。


  • 新教材(マニュアル・ハンドブック)の実地検証と運営改善

    <活動内容>

    2026年1月に完成した講師用マニュアルおよび受講者用ハンドブックの改訂初版を実際の講習現場で初めて使用し、指導現場での活用度を検証しました。

    <成果>

    現地の先生方が教材を用いて円滑に講義・実技を進められることを確認できました。同時に、事前準備や予算ルールの明確化といった運営課題も浮き彫りとなり、次回に向けた「運営チェックリスト」の作成など、質の高い体制づくりへとつながりました。

    黄色い服の女性が、膝の上の英語の医療テキストを指で示してめくっている。白いクッションの上で真剣に確認している様子。

  • ネパール政府機関(NHTC・FWD)との協議と国家認定への進展

    <活動内容> 5月20日に国立保健研修センター(NHTC)および家族福祉部(FWD)を訪問し、ネパール版新生児蘇生法(NNCPR)の国家ガイドライン化・公式研修化に向けた協議を実施しました。

    <成果> NHTC・NEPAS・ネパール国内の有識者の3者による作業グループを発足させ、公式認定に必要な教材一式(Learning Resource Package)の作成や、将来的な医学部カリキュラムへの組み込みに向けた検討を進めることで合意しました。



渡航したNCPR委員会*の先生方からのコメント

*日本周産期・新生児医学会 新生児蘇生法委員会



病院の講義室で、白衣やTシャツ姿の大人数が集合写真を撮影。前列は椅子に座り、皆笑顔でスクリーン前に並ぶ】【。


  • 香川大学医学部付属病院 安田先生

    2025年11月のカトマンズ、および2026年5月のポカラで開催された新生児蘇生法講習会の両方に、スーパーバイザーとして参加しました。

    開催地が首都から地方都市へと変わることで、講習会の運営や受講生の反応に何らかの違いが生じるのではないかと予想していました。しかし実際には、両会場ともプログラムは円滑に実施され、インストラクターの指導方法や受講生の学習意欲にも大きな差は見られませんでした。特にポカラでは、受講生が積極的に実技に取り組み、真剣に学ぶ姿がとても印象的でした。

    スーパーバイザーとして両講習会を見比べる中で、本プログラムが首都カトマンズのみならず地方にも着実に浸透しつつあることを強く実感しました。今後も現地の指導者と協力しながら、新生児の命を守るための新生児蘇生法教育を、ネパール各地へと広げていきたいと考えています。

  • 石川県立中央病院総合母子医療センター新生児科部長 北野先生

    ネパール版新生児蘇生法(NNCPR)研修として初めて地方で開催された、ポカラでの講習会に参加させていただきました。私自身、今回が初めての参加でしたが、渡航前のWeb会議からASHAならびにネパール人医師の皆様に温かく迎え入れていただき、安心して参加することができました。

    研修当日、会場の入り口には「新生児死亡率18/1000出生」と書かれた黒板が置いてあり、ネパール側の研修にかける思いが伝わってきました。参加者全員の「ナマステ、エブリワン」で始まる自己紹介にほっこりした後、いよいよ講習会が始まりました。まず驚いたのは、インストラクターの指導能力の高さと自信にあふれた振る舞いです。安心して見ていられました。また、真剣に取り組む受講者からは、新たな知識や技術に出会った瞬間の興奮が伝わってきて、同じ医療者としての思いを感じることができました。

    講習会を終えた帰路、一人のコアインストラクターの呼びかけにより、空港で臨時のミーティングが始まりました。真剣に話し合うネパール人医師たちが作り出す張り詰めた空気に、何か新しいものが誕生するときのエネルギーのようなものを感じ、鳥肌が立ちました。「絶対にできる!」―― 私自身、そう感じた瞬間でした。

    今回の研修を通じて、ネパールにも、これからのNNCPRを支える優秀な人材が大勢いることがわかりました。一方で、継続的に講習会を開催するための研修基盤の整備(講習用のシミュレーターや医療機器・備品、地方トレーニングサイトの設置など)において、解決すべき課題があることもわかりました。NNCPR研修体制の構築と、ネパール全土での普及・定着への道のりは決して平坦ではありません。しかし、生まれてくる赤ちゃんを救いたいという思いに国境はありません。

    引き続き、ネパールの未来を支えるお手伝いをさせていただきたいと思います。




今後の展開

本プロジェクトは、一過性の取り組みに終わらせず、現場の運用が定着するまで定期的な確認と調整を重ねてまいります。

次回の現地訪問は2026年8月頃(ルンビニ州ブトワルでの2回目の地方研修)を予定しており、今回決定したアクションの進捗確認および新たな拠点でのトレーナー育成を行っていく予定です。また、2026年11月にはNEPASの医師8名の日本招聘研修(東京・香川)を予定しています。


白い教室で、白衣や青いスクラブの医療スタッフと研修生が椅子に座り、講義を静かに聞いている。



ASHAの活動を一緒に広げていきませんか?

ネパール全土で「赤ちゃんの命を救う仕組み」を持続可能なものにするため、皆さまからの多様な形でのご協力・ご支援をお願いしております。あなたに合った関わり方で、この挑戦に参加してみませんか?


屋外で3人の女性が並び、右の女性が紙を読み上げている。黒いコートとピンクのマフラー、真剣な表情。
  • NRTプロジェクトの継続・定着に向けたご寄付 本プロジェクトで活用している助成金(3年間)の終了後も、ネパール現地での研修を途絶えさせず、地域主導による自律的な運用が定着するまでの体制構築費用を募っています。一過性の支援に終わらせず、持続可能なシステムとして現地に定着させるためのご協力をお願いいたします。



  • 専門性・スキルを生かすプロボノ(ボランティア・インターン)

    医療・プロジェクトマネジメント・エンジニア・ファンドレイジング・法務・会計など、あなたの経験や専門スキルを団体の運営や現地支援に活かしてみませんか?



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