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ネパールの医療の現状
ネパールは平均寿命が70.2歳、1000人中30人が5歳未満で亡くなるなど、決して人々
が健康に暮らせているとは言えない状況です。その原因として、主に以下の3つがあります。
生活習慣病
ネパール死因率の66%を占め、慢性的で高額な治療を要するため近年深刻化しています。喫煙や大気汚染、栄養失調による呼吸器系の疾患が増えています。
感染症
下水道の未整備のために人口の約半数が適切なトイレを使えず、下痢性疾患や肺炎、結核などが死因の上位を占めます。
母子健康
乳児死亡率や妊産婦死亡率は依然として高いままです。幼児死亡の死因第1位は下痢で、多くは衛生的な水の確保が難しいことや母親のヘルスリテラシーの低さに起因します。
こうした医療課題が残っている背景として、ネパールでは、
特に地方において医療へのアクセスが難しいという現状があります。
ネパールの地方が抱える医療へのアクセスを阻む課題
1
十分な医療が提供されていない
1-1. 量の不足と物理的アクセスの困難
ネパールの地方は医療機関が不足しています。山がちなネパールでは未整備な道路も多いため、最寄りの医療機関まで徒歩数時間ということも珍しくありません。そのような地域では、医療が必要な際にすぐに受診することができません。
1-2. 高度医療の不足
地方はただでさえ医療機関は限られますが、Health Assistantなど医療行為が限られる医療職が運営しているところも多く、中心的な医療機関も高度な医療判断はできません。日本では一般的な機器を使った検査を受けたり、手術や入院が必要な場合には大きな町に出る必要があります。
1-3. 個々の医療サービスがバラバラ
ネパールでは医療機関間が連携をとる仕組みがまだ十分には整備されていません。加えてネパールでは、診察後に患者が都度もらうカルテを持って帰りますが、忘れる・紛失するケースが殆どです。そのため、医療機関側は患者の過去の診断・治療を正確に把握できず、継続的な医療が困難な場合が多い状況です。
2
ヘルスリテラシーの低さ
住民が自分たちの身体について正しく理解できておらず、疾患を予防したり、有事の際に必要な応急処置ができていません。「下痢は悪魔の仕業だ」など、古くからの迷信を信じ、医療機関に赴かない選択をする人もいます。
3
改善の仕組みがない
自治体側も報告用の情報のみ紙ベースで保管するため、現状を定量的に把握できず、資源最適化やニーズに基づく施策を行えないのが現状です。
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