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新生児蘇生法研修の普及

安心して出産できる環境づくり

ASHAは、ネパールの赤ちゃんの命を救う「新生児蘇生法」の普及に取り組んでいます。現地の医療従事者や医学生・看護学生を対象に、実際の現場を想定した実践的なシミュレーション教育を行うことで、一人でも多くの赤ちゃんの命を救うことを目指しています。

ネパールの現状・課題

①高い新生児死亡率

新生児期は人生の中で最も脆弱な時期です。ネパールでは出生1,000人あたり約17人の赤ちゃんが生後まもなく命を落としており、これは日本の約21倍と非常に高い死亡率です。主な死亡原因は、早産・感染症・出生時の呼吸循環不全(新生児仮死)ですが、生まれてくる赤ちゃんの約10%は新生児仮死の状態で誕生しています。この新生児仮死状態の赤ちゃんの90%以上は適切な新生児蘇生法で救うことができると言われており、医療従事者が正しい知識と実践的な技術を身につけることが重要です。

新生児仮死の状態で

生まれてくる赤ちゃんの割合

10%

適切な新生児蘇生法

​救命できる赤ちゃんの割合

90%以上

ネパールの​新生児死亡率

​(出生1000人あたり)

​約17人(日本の21倍)

② 教育・研修体制の課題

ネパールでは「Helping Babies Breathe(HBB)」という新生児蘇生のプロトコルが導入されており、基礎的な新生児蘇生法は普及しています。その一方、研修や教育の機会が不足しており、適切な新生児蘇生法を実践できる医療従事者は限られています。また、HBBは限られた医療資源でも実践できる最低限の処置を中心とした簡易的な蘇生プロトコルであり、高度な症例に対応する技術教育が不十分であることが課題となっています。

③医療機関の課題

ネパールの地方にある一次医療機関では、設備や医療技術を身につけた人材が慢性的に不足しており、安全な分娩が困難な状況が続いています。そのため検診で出産にリスクがあると判断された妊婦は、半日以上かけ都市部の病院へ移動しなければならず、身体的・経済的に大きな負担となっています。また、都市部でもNICU(新生児集中治療室)の病床数が不足しており、医療設備や人材の確保が喫緊の課題です。

④ 医療機関不信による悪循環

ネパールでは伝統的な民間療法や祈祷師を頼る人が多いことに加え、医療に関する基礎的な知識が不足しているなど、ヘルスリテラシーの低さが課題となっています。さらに、医療機関の水準の低さが母子保健の医療レベルにも影響し、出産時のリスクが高い状況が続いています。その結果、住民の医療機関不信を招き、受診率が低下するという悪循環が生じています。

ASHAの取り組み

ネパールには、知識と技術があれば救える赤ちゃんの命があります。ASHAはネパール小児学会と協業し、新生児蘇生法の実践的な研修や指導者育成を行うことで、ネパールの新生児死亡率低減と医療体制の底上げを目指す取り組みを進めています。

①新生児蘇生法のプロトコル確立

ネパールで広く使用されている簡易的な新生児蘇生法プロトコルではカバーできない、高度な処置内容を含む新生児蘇生法のプロトコル確立を目指します。日本の新生児蘇生の専門家および現地の専門家と協力し、ネパールの医療実態を反映した、実用的な内容を目指します。

②新生児蘇生法の研修方法の確立・普及

ネパールの医療教育機関や大学と連携しながら、新たなプロトコルの内容を含めた新生児蘇生法の研修デザインに取りんでいます。ネパールの医療従事者や研修医を対象に、現場で実践できる医療技術を習得できるよう、シミュレーショントレーニングを含めた研修方法の確立と普及を目指します。

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